ペットの病気
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1)消化器疾患

寄生虫感染症

コクシジュウム:濃厚感染をしたウサギは激しい下痢を起こし、しばしば致死的である。
ウサギ蟯虫:盲結腸に寄生し、病原性はほとんどない。
豆状条虫 :終宿主は犬、キツネで中間宿主はウサギとげっ歯類です。

腸性中毒

Clostordium spiroformeの毒素様物質による毒素の腸と血管における透過性の変化が原因とされ、 元気消失、食欲不振、水様性下痢(タール状の黒色〜茶色)、鼓脹、腹部痛でうずくまった姿勢で歯軋りをみせることもある。 最後には麻痺や痙攣(ケイレン)がみられ死亡する。症状は急性で数時間から3日以内に起こる。
誘因は細菌、真菌、寄生虫、抗生物質、ストレスなどさまざまである。 生前診断は困難で、治療は一般的に奏功しない。

盲腸便秘/盲腸鼓腸

盲腸内に糞が停滞したり、同時にガスがたまることがある。 症状は食欲不振、便秘などである。 そのほかの消化器疾患(不正咬合、毛球症等)の合併症として見られる事が多い。
腸閉塞が見られると死亡率はかなり高い。

毛球症

ウサギは毛づくろいするが消化管内に毛玉が出来ても嘔吐が出来ない。 又、胃の幽門が小さく、消化管内で毛玉となって閉塞する。
症状は食欲不振、正常便の欠如、消化管内のガス貯留で、次第に飲水だけで体重減少がみられ、衰弱してくる。

ティザー病

Bacillus pilifomisが原因菌である。主に若齢の離乳したばかりの固体に、急性下痢の症状で起こる。
この細菌は腸内の常在菌ではあるが、ストレスにより増殖し、盲腸、結腸、回腸遠位端の粘膜上皮に壊死が起こす。

粘液性腸疾患

3〜10週齢の幼若なウサギに好発する。 腸内にガスや液体が溜まり、発病したウサギは致死的である。
症状は食欲低下、多渇、下痢(タール状)、歯軋り、膨腸、脱水である。

2)皮膚疾患

細菌性皮膚炎飛節潰瘍

 
環境の不備(ワイヤーメッシュや固い床、過小ケージの運動不足など)、肉球のない足底、肥満、爪の過長などが関与した飛節の細菌感染である。
症状は潰瘍がみられ、過角化症、慢性炎症に発展し、動くのを嫌う様になる。

皮下膿瘍

膿汁がチーズの様に固まるため結節を呈する。腫瘍と誤認されやすい。
その他に、湿性皮膚炎、緑膿菌感染等がある。

湿性皮膚炎

不正咬合により流涎がみられ、顎から頚部、前胸部の被毛が濡れて皮膚炎がみられる。 又、グルーミングがうまく出来ず、体表の被毛全体が流涎による分泌物で固まった被毛がみられる。

心因性脱毛

食餌の粗繊維不足、♀のホルモン起因、ストレス等により過剰なグルーミングが行われ、口の届く範囲を自咬することで脱毛が生じる。 四肢やわき腹に好発する。
♀の場合は卵巣子宮摘出手術を行う事もある。

皮膚糸状菌症

発疹は四肢や顔面によく見られる。 皮膚は乾燥し、落屑、軽度の痒みを呈する。

寄生性皮膚炎 

ウサギキョウセンヒゼンダニ、ウサギツメダニ、ノミ、ウサギズツキダニ、ハエ蛆病、等がある。

3)口腔疾患

不正咬合

 
切歯や臼歯の全てが生涯伸び続ける(約2mm/週)。 対を成す歯の咬耗(咀嚼)長さが維持されているので、牧草を食べないと臼歯過長症になりやすくなる。
切歯は草を切り取る為にあり、ケージ等での損傷が切歯不正咬合の原因になる。
それと遺伝的に不正な咬合(常染色体劣性による下顎過長症)等の要因で磨耗の回数が減り、切歯も臼歯も過長や捻転、湾曲、歯棘形成等がみられ、正確な咬合ができなくなる。

  

根尖膿瘍

歯が破折して、露髄する。たとえば落下事故、ケージメッシュの噛み癖、等で歯髄に感染が起こり、歯根部に膿瘍を形成する。 さらに歯槽骨の骨髄炎まで併発する。
骨までを破壊し、皮膚まで瘻管を形成し、眼の下や下顎に膿瘍がみられる。
予後不良。

4)泌尿生殖器疾患

子宮疾患

子宮内膜の変化(子宮内膜症、子宮内膜炎、乳頭過形成、膿胞性過形成、腺腫様過形成)と腺癌がよくみられる。
症状は初期は無症状だが、攻撃性をもつ雌もいる。 次第に持続的偽妊娠(?胞性乳腺腫等)、受胎率低下、流産、死産、陰部からの出血がみられる。

出生前死

ウサギは13日前後と20〜23日目ぐらいに流産することが多い。
原因は妊娠中毒、ビタミンE不足、ビタミンA過剰、高熱、感染症、硝酸塩(アルファルファ、クローバー、オーチャード草、チモシー、等に多く含まれている)などである。

乳腺炎

症状は乳腺の腫脹、紅斑、発熱がある。
敗血症の乳腺炎では発熱、食欲不振等もみられる。

血尿

異常尿で血液が混入している場合は、膀胱炎、膀胱ポリープ、腎盂腎炎、尿石症が考えられる。 もちろん生理的なポルフィリン色素や餌の代謝産物に関する有色尿がみられることもある。
生理的有色尿は症状を示さないが、膀胱炎、膀胱結石では排尿障害、食欲不振がみられる。

5)神経系疾患

斜頚

内中耳の細菌感染が原因であることが多い。
症状は急性のものと、進行性ものとがあり、斜頚のほかに運動失調、起立不能である。この段階では、食欲は低下はしない。 又、眼球振盪、顔面神経欠損の症状は、脳や髄膜に病変がある可能性を示している。
長期に症状が続けば摂食も困難になり、衰弱してしまう。


微胞子虫(エンセファリトゾーン)

この原虫は経口摂取された後、腸壁に侵入し、血中へ入り、脳、腎臓、肝臓、脾臓に寄生する。 病原性は、通常慢性的に感染し、不顕性である。
感染ウサギでは、痙攣(ケイレン)、不全麻痺等の神経症状をだす。

6)呼吸器疾患

ウサギの呼吸器疾患は、初期ではあまり症状がみられず、スナッフル以外では末期で発見される場合が多い。 従って、治療が奏功しない場合も多い。

スナッフル

鼻炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎等の俗称をスナッフルという。 鼻炎や副鼻腔炎による鼻汁音、気管支閉塞音を(スナッフリングノイズ)といい、病名の語源である。
症状は呼吸器症状で初期では鼻汁程度であるが、放置して悪化すると肺炎や胸膜炎等で死亡することがある。