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動物由来感染症


■狂犬病

日本では狂犬病予防法と言う法律があり、飼い犬に対して年1回の狂犬病予防注射が義務づけられています。 そのおかげで、昭和32年以降発生は有りませんが、世界的に見ると未だに一部の地域(オーストラリア、イギリス、スウェーデン等)を除いて猛威をふるっています。

したがって、海外旅行の際にはむやみに犬や野生動物に触れないように注意する必要が有ります。 海外では道に倒れていたアライグマに咬まれたりネコや吸血コウモリからの感染も報告されています。

■レプトスピラ

らせん型の細菌によって引き起こされる病気で、野生のネズミによって媒介されます。 ネズミは菌を保有していても無症状で尿中に病原菌を排泄し環境を汚染します。

犬では細菌に汚染されたものに触れたり舐めたりする事により感染し、感染すると肝炎、腎炎や出血性敗血症を起こす場合と、無症状で尿中に菌を排泄するキャリアになる場合があります。 犬の混合ワクチンの中にはレプトスピラを予防できる物もあるので接種しておくと良いでしょう。 ただし、ワクチンを接種していても感染する可能性は残るのでドブ川や汚水が流れ込む川の周囲を散歩させたり、他の動物の尿を舐めたりしないように注意する必要があります。

人の感染するケースでは調理場でネズミの尿に汚染されたものに触れたり、家庭菜園で使う腐葉土が汚染されて感染した報告等があります。 実際は飼い犬から感染した報告はあまりありませんが、ペットのハムスターからの感染例は報告されています。 人での症状はワイル病とよばれる黄疸や出血あるいは硝子体混濁などの後発眼症が眼科領域で問題となります。

■包虫症

犬やキツネに寄生する条虫で大きさが非常に小さく犬に対する病原性はほとんど有りません。 しかし、ひとたび、人間に寄生すると悪性腫瘍と同じように根治するのが難しく致命的になる事も有ります。

人への感染経路は経口感染で虫卵で汚染された水や食べ物あるいは、感染動物との接触で感染することが有ります。 犬の駆虫は比較的簡単なので発生地域では定期的に駆虫薬を飲ませておくと良いでしょう。 また、キタキツネが生息する地域に犬を連れていく場合は駆虫薬を投薬しておいた方が良いでしょう。

■回虫症

犬や猫の回虫が人の体に入ると幼虫のまま体内を移動します。これを幼虫移行症と言います。

人への感染は経口感染で、主に幼児が感染しやすく危険です。 回虫の卵の殻は非常に強力で体外で非常に長く生存します。 回虫卵で汚染された砂場で遊んだり感染犬を触って良く手を洗わないで物を食べたり指をしゃぶったりして感染します。

人での症状は眼内型と内臓型に分かれますが、特に眼科の分野では症状が重く問題となります。 予防法としては特に幼犬で虫卵の排泄が多く見られるので、飼育初期に確実に駆虫することが大切です。 また動物を触ったらよく手を洗う習慣をつけたり、動物に口を舐めさせたりしない事も必要です。

■皮膚疾患

人に感染する皮膚疾患としては外部寄生虫(疥癬やノミ)の咬傷やそれに伴う過敏症あるいは皮膚糸状菌症等があります。
いずれの病気も動物の治療は比較的容易なので早期に病気を発見することが大事です。

人が感染した場合の症状はかゆみや発疹で、抱いて寝たり一番動物との接触が多い人がかかりやすくなります。
皮膚科に受診するときに動物を飼っていることを話しておくと診断がスムーズに行われます。

■細菌性胃腸炎

犬や猫はサルモネラ、キャンピロバクター等、食中毒の原因菌を健康でも保菌している場合があります。 これらの菌は人に経口感染すると下痢や吐き気の原因となる事があります。

実際には人への感染は汚染された食べ物や水の摂食によることが多いのですが動物に口を舐められたりして直接感染する場合もあります。 特に動物が下痢をすると細菌の排泄が多くなるので早期の治療と同時に便で汚染された環境の消毒が重要となります。