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動物由来感染症


■トキソプラズマ

日本人の成人の20~25%が感染しており、生肉を好むフランス人では80%の人が抗体を持つというデータがありますが、ごくわずかの人でしか症状は見られません。 それは,免疫の働きが,通常,病気を起こさないように、トキソプラズマを抑え込んでいるからです。

妊婦に感染すると流産・死産の原因となる事が有ります。猫では初感染時にオーシストと言う虫卵を排泄しますがこの卵の抵抗力は非常に強く(70度で10分間耐えることができます)、長く環境を汚染します。 妊婦にとって問題となるケースは、ネコが初感染後、妊婦も初感染してしまうケースです。

人への感染は経口感染が最も多く、感染した豚や羊(豚や羊は無症状)の肉を半焼けの状態で食べて感染します。 予防法はネコをなるべく室内で飼い感染を予防することと、下痢をした場合は早めに治療し便で汚染された箇所の熱湯による消毒が有効です。 また、豚や羊を調理するときは良く過熱し、使用したまな板や包丁は熱湯で消毒しておくと良いでしょう。

■パスツレラ

細菌の一種ですがほぼ100%の猫が口の中に保菌しています。人が猫に咬まれると非常に高い確率で皮膚化膿、場合によっては呼吸器感染症などを起きるのでできるだけ早く病院で治療を受けた方が良いでしょう。

■皮膚疾患

人に感染する皮膚疾患としては外部寄生虫(疥癬やノミ)の咬傷やそれに伴う過敏症あるいは皮膚糸状菌症等があります。いずれの病気も動物の治療は比較的容易なので早期に病気を発見することが大事です。人が感染した場合の症状はかゆみや発疹で、抱いて寝たり一番動物との接触が多い人がかかりやすくなります。皮膚科に受診するときに動物を飼っていることを話しておくと診断がスムーズに行われます。

■Q熱

人は病原体(コクシエラ・バーネッティ)を吸入することで感染するが、感染しても半数以上の人が無症状。主な症状としては、
急性型- 発熱、頭痛、悪寒など。2週間ほどで回復。
慢性型- 長期にわたる不定愁訴(漠然とした身体的不調)
があります。

カゼの症状に似ているため、非常に診断が難しいので、受診の際に、動物を飼っていることを話しておきましょう。

症例

ある小学校5年生の男の子で、2ヶ月ほど前にインフルエンザ様の症状が出て、咳は減ってきたが微熱が続き全身倦怠感もあったため、学校も休みがちになった。いくつか病院を受診したが、医者は「よくあることでたいしたことはない」と言うだけだった。

ところがある病院で、血清中の抗体測定などの検査によりQ熱と診断された。抗生剤を投与したところ症状は改善し、以前のように元気に登校できるようになった。

また、インフルエンザ様の症状が出る直前に飼い始めた子ネコと家族の検査を行ったところ、子ネコ、祖母、母親も抗体陽性で、症状がない不顕性感染であることが判明した。子ネコも抗生剤を投与して治療し、現在も大切な家族の一員となっている。


■ネコひっかき病

病原体は、バルトネラ・ヘンセラと言う細菌で、ネコやイヌによるひっかき傷や咬傷で感染する。ネコノミがバルトネラ・ヘンセラを保有するので、猫に咬まれたり、引っかかれたりしなくても感染する場合もあるので注意。
発症は主に小児に多く、発症時には、リンパ節が腫れ、発熱や頭痛を引き起こす。軽度の場合は、自然に治る。